美カラダと栄養「脂質」

脂質を適度にとることは身体にとって重要なこと

脂質は5大栄養素の中でもさらに重要である3大栄養素の一つです。ほかの二つは炭水化物(糖質)とタンパク質になります。

脂質は栄養素の中でも効率の良いエネルギー源でもありますが、その反面1gあたりの熱量(kcal)が9kcalと大きいため過剰摂取をすればその分太りやすくなってしまいます。(炭水化物とタンパク質はいずれも1gで4kcalの熱量)

だからと言って脂質をまったく取らないと人体にかなりの悪影響を及ぼすことにもなりますし、適度な脂質の摂取は理想的な美カラダになるためには欠かせません。そこで、脂質はどういったものなのかを理解する必要があります。

単純に脂質とは言いますが、脂質でも大きく3つに分けることができます。

①単純脂質

脂肪・・・脂肪酸とグリセロールのエステル

ろう・・・脂肪酸と高級アルコールのエステル

中でも「脂肪」は栄養上重要な成分に当たります。脂肪は1分子のグリセロールに3分子の脂肪酸がエステル結合したものである。とされています。ちなみに、「ろう」は簡単に言えばワックスのことです。

脂肪酸の種類は多く、飽和脂肪酸(分子内に二重結合をもたないもの)、一価不飽和脂肪酸(分子内に二重結合を1個持つもの)、多価不飽和脂肪酸(分子内に2個以上の二重結合をもつもの)に分けられる。

その中でも多価不飽和脂肪酸のリノール酸、α‐リノレン酸、およびアラキドン酸は成長や健康を保つための生体機能調節などに必要な脂肪酸で、しかも生体内で合成ができないため必須脂肪酸となっています。

脂肪は1gあたりの熱量が大きいため効率のいいエネルギー源になっています。胃の中での停滞時間も糖質やタンパク質に比べると長いので腹持ちもいいですし、脂肪が代謝されるときには糖質に比べてビタミンB1の消費も少なくなります。体内には体重の10%~20%以上の脂肪が様々な組織に中性脂肪の型で分布しています。貯蔵脂肪としては体温の放散を防ぎ、内臓器の保護も行っています。さらには脂肪細胞はホルモンなどの生理活性物質を分泌する内分泌臓器であることも明らかにされています。

適度な脂肪は身体を調整する上では必要ですが、その反面、酸化されやすいものもあります。それを防ぐものがビタミンE、ビタミンC、カロテンなどの抗酸化ビタミン類を摂取することが大切になってきます。

また、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、Kなど)は食品中の脂質部分に含まれているので油脂の摂取によりビタミンを供給できるようになります。代表的なものとしてはレバーがいいですね。

②複合脂質

リン脂質・・・脂肪酸とグリセロールのほかにリン酸と窒素化合物が結合したもの

糖脂質・・・脂肪酸とグリセロールのほかに糖と窒素化合物が結合したもの

リン脂質で主要なものはレシチン、ケファリン、スフィンゴミエリンというものです。細胞の成分でもあるレシチンは抗酸化剤、乳化剤として、また脂質代謝に重要な役割を果たしている。ケファリンは血液凝固の過程に関与していて、スフィンゴミエリンは脳や神経組織に多く分布しています。働きとしては動脈硬化の予防や集中力の向上などの効果があるとされています。

糖脂質は脳や神経組織に多く含まれていて、主なものはセレブロシドです。細胞のシグナル伝達や成長等に関わっています。

リン脂質、糖脂質も細胞膜を構成していて、筋肉、脳、神経、血液中など体全体に存在しています。

③ステロール類

コレステロールが代表的なものとしてはよく聞くものだと思います。ステロール類はステロイド核を有する高級アルコールであり、単純脂質や複合脂質とは全く構造の異なる化合物です。

コレステロールは体内の中でも脳、神経などの膜成分でもあり、胆汁酸、副腎皮質ホルモン、性ホルモン、ビタミンD3などの合成材料である。人では約120gのコレステロールがあり、脳、神経には40g、血液中には10g、肝臓には5g程度含まれている。成人での血清コレステロールの正常値は200±20mg/dlとされています。

食物から摂取するコレステロール量は1日平均0.5g程度で、体内での合成は約1.5gと言われている。食事中のコレステロールは血清コレステロール濃度に影響しますが、むしろ体内で合成されるコレステロールの影響の方が明らかに大きいようです。一般的に正常時にはコレステロールの摂取量によって、生体側はその生合成を調節しています。

植物ステロールはコレステロールに比べて吸収率は低く、吸収されにくいだけでなく、共存するコレステロールのの吸収をも阻害する性質を持っています。ということは、植物ステロールには血清コレステロール濃度を低下させる作用があるといえます。

サラダ油などのパッケージによく「コレステロール0」というのを見かけますが、そもそもサラダ油などの植物性の油にはコレステロールがほぼほぼ含まれていません。これただの言葉のトリックなんですよね。

脂質は悪者扱いされがちですが、必要分を摂取することで身体を健康で美しく保つ上では重要な役割であるといえますね。ただし、とり過ぎには当然注意しなければいけません。

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